すっかり三脚ブログと化してしまった当ブログですが、三脚のことばかり考えているうちに、どうにもGITZOが気になってしまい、モヤモヤしていると精神衛生上良くないので、思い切って購入してしまいました。GITZOの中でもどれを買おうかと色々悩んだ末に、現行のマウンテニア3型4段のGT3542を中古で購入したので、レビューしたいと思います。
マウンテニアかシステマティックか
GITZOを購入するにあたり、どの三脚にするか結構悩みました。GITZOの三脚は現状のラインナップだと、小型軽量で可搬性に優れた「トラベラー」、大型で剛性感に優れ、拡張性の高い「システマティック」、それら2つの中間で、汎用性のある「マウンテニア」の3種類があります。さらに0型〜5型と足の太さに違いがあります。
※ここからは長くなるので、興味のない方はレビューまで飛ばして下さい。
とりあえず私の三脚の用途ではトラベラーは候補外。ということでマウンテニアか、システマティックか...
大型の三脚はManfrotto 475Bが現状の撮影環境に合っていること、先日レビューしたシステマティック的なINNOREL NT364Cもあります。そこで、長く使っていてくたびれ感が出てきている、Manfrotto 755XBと置き換える三脚を購入することにしました。
Manfrotto 755XBは脚の太さが29.4・25・20mmなので、GITZOでは2型くらいの脚の太さです。最低でもそれくらいの太さは欲しかったので、2型以上に決定です。4型だと755XBの代わりとしては大きすぎるので、2型か3型にすることに。システマティックは3型以上しかないので、候補はシステマティック3型、マウンテニア2型or3型に絞られます。
755XBを使用するときは脚をすべて引き伸ばして、センターポールで高さを微調整するという使い方が多いので、センターポールは必須です。システマティックは別売りのセンターポールも高額です。ギア式のセンターポールが使用できるメリットはありますが、そちらはManfrotto 475Bで間に合っているので、システマティックも候補から外します。
マウンテニア2型か3型まで候補が絞れましたが、さらに段数が3段か4段かを選ばなければいけません。段数による最大の違いは格納高です。2・3型ともに4段の場合は雲台を取り付けなければ、格納高が60cm以下に収まるので、飛行機の機内持ち込みが可能となります。機内持ち込みを重要視していたわけではないですが、小型のほうがなにかと便利かと思い、4段にすることに。3段と比べて、4段だと格納高は小さくなりますが、脚をすべて引き伸ばして使用するときは段数が多い分、1番下の段の脚が細くなってしまいます。私の用途では脚をすべて引き伸ばして使用することが多くなるので、4段目の太さもある程度欲しいです。3型4段の場合、4段目の足の太さが21.7mm、2型4段は18.3mmです。3型の場合は4段目でも755XBの3段目(20mm)よりも太さがあるので、購入するのはマウンテニア3型4段であるGT3542に決定しました。
新品での購入も検討しましたが、10万円オーバーはさすがに高すぎると思い、中古で探してみました。ちょうどよく中古で状態も良さそうなものがあったので、中古は一期一会と自分をごまかし、思い切って買ってしまいました。
外観

全伸高 | 162cm |
全伸高(センターポールを伸ばさない状態) | 134cm |
最低高 | 15cm |
格納高 | 54cm |
脚チューブ直径 | 32.9 / 29 / 25.3 / 21.7mm |
重量 | 1.86kg |
最大耐荷重 | 21kg |
GT3542はGITZOマウンテニアシリーズの中で最も脚が太い三脚です。1段目の32.9mmの脚は実際に手に取るとしっかりした太さを感じます。がっしりとした剛性感があり、GITZOのHPには、中判カメラや300mmクラスのレンズを装着した一眼レフカメラとの使用を推奨しているとあります。がっしりとした安定感がありながら、重量は1.86kgと軽量です。以前、使用していたManfrotto 755XB(2.5kg)と比較するとかなりしっかりとした印象ですが、約75%軽いです。

格納高はManfrotto 755XBよりも約10cmほど小型で可搬性にも優れています。

Carbon eXactチューブを採用し、以前のモデルに比べて脚が太くなっているとのことです。下の段の脚にはハイモジュラスカーボンファイバーが含まれており、剛性と堅牢性が向上しているようです。

4段と段数は多いですが、1番下の脚でも21.7mmとしっかりした太さがあり、すべての脚を伸ばした状態で使用してもしっかりとした剛性感があります。

Gロックウルトラは少ない回転でロック・アンロックが可能で、素早く確実な操作が出来ます。
ロック部分の握り心地も良いです。

センターポール下端にはフックがあり、カメラバッグなどを引っ掛けてウェイトとして使用することが出来ます。
エンドフック部部にゴムのOリングが付いていて、脚を閉じたときに固い部分に脚が当たらないようになっていて、細かい部分まで配慮されています。
開脚角度セレクター

開脚角度の変更には脚の根本にある上記のパーツを引き上げます。大型で操作しやすいです。ただこのパーツはプラスチックのような素材で傷が付きやすいようです。中古で購入した今回の三脚もこの部分に傷が入っていました。

このパーツを上げたまま、脚を開くと最大角度で自動的にパーツが戻るようになっています。その後は脚を閉じるごとに任意の角度で止まるようになっています。開脚角度の変更は簡単で、パチンパチンと小気味良く操作可能です。
ローアングル
センターポール付きの三脚ですが、ローアングル撮影の際はセンターポールを簡単に外すことが出来ます。

アッパーディスク下部の銀色の部分を捻ってロック解除することで、センターポールの下部分が簡単に引き抜けるようになっています。

このように簡単にセンターポール下部を引き抜くことが出来るので、スムーズにローアングル撮影に移行可能です。

脚を最大まで開くとこのような感じです。4段のため、接地面積は比較的コンパクトです。

雲台取り付け面までの高さは約15cmです。SmallRigのクイックリリースシステムと中型の自由雲台を取り付けた状態で、地面からの高さが約30cmちょっとといった感じになります。

以前ご紹介したVelbonのマルチアングルアームを使用するとカメラの高さをさらに下げられるので、地面スレスレのアングルでの撮影が可能になります。
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センターポール下部を引き抜くことで、センターポールの逆付けも簡単に出来ます。

センターポールを戻すときには上の写真の赤丸の部分が合うように差し込みます。

このような感じで、外側に窪みがあるので、そことセンターポールのミゾ部分を合わせれば取り付けられます。
アッパーディスク

アッパーディスクはこのように分解できます。

アッパーディスクの直径は約60mmです。

雲台取り付け用のネジは上下反転させることで、1/4(細ネジ)、3/8(太ネジ)の両方に対応しています。

アッパーディスク中心付近のネジを緩めることで、上の写真のように分解することが出来ます。

アッパーディスク端に雲台のゆるみ防止用のイモネジがあります。

このイモネジはアッパーディスクを分解しなくても、裏側の隙間から締めることが出来ます。

SmallRigの雲台クイックリリース用のクランプを取り付けました。アッパーディスクよりも若干クランプのほうが大きく、ややはみ出してしまいますが色は似たような感じなので、なじみは良いと思います。
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クランプの高さ分、格納高は大きくなりますが、60cm以内に収まります。雲台を簡単に取り外すことが出来るので、機内持ち込みのときなどに楽に運用できそうです。(※この状態で確実に機内に持ち込めるかは未確認です。持ち込みの際には各航空会社にご確認下さい。ANA「【国内線】パソコンやカメラ(三脚も含む)などの壊れやすいもの、貴重品は、機内に持ち込むことはできますか。」)
最大伸高

センターポールを伸ばさない状態で、ファインダーの高さが153cmくらいです。最大までセンターポールを伸ばすとファインダーの高さが181cmくらいまで上がるので、アイレベルは超えます。

こちらは以前使用していた、Manfrotto 755XBです。センターポールを伸ばさない状態で、ファインダーの高さが約161cm。センターポールを最大まで伸ばすと約186cmくらいまで上がります。
脚を最大まで伸ばすと、755XBの方が若干高くなります。GITZOは脚の段数も多く、センターポールも長いのでManfrottoよりも条件的には不利ですが、安定性はGITZOの方が遥かに上と感じます。
まとめ
ほぼ似たようなサイズ感のINNOREL NT364Cを購入したばかりなのに、調子に乗ってGITZOに手を出してしまいました。
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INNOREL NT364Cは値段を考えるととても良く出来ており、使い勝手も満足しています。けれどそれに触れてしまったせいで、たくさんの人が褒め称える、5倍くらいの値段のGITZOとはどれほどなのかと気になってしまいました。まだ本格的に撮影では使用していないのですが、軽く触った感じでも、脚のロック・伸縮のスムーズさ、高い剛性感と堅牢性、細かい部分の作り込みなど、三脚の王者たる所以の一端を感じられます。値段以上の価値が感じられるかはこれから撮影で使い込んでみないと分かりませんが、少なくとも、Manfrotto 755XBよりは遥かに優れた三脚だと感じます。最終的にGITZOに行き着くことになるならば、最初から回り道せず、清水の舞台から飛び降りるつもりでGITZOの三脚を買ってしまったほうが、幸せになれるのかも知れません。