Canon EOS R5へのUSBバッテリー給電の実験

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SONYのカメラを使っていたときは、何も考えなくてもPCとケーブルで接続して、テザー撮影をしているだけで、カメラに給電されていて、バッテリー残量をあまり気にすることもなく便利でした。
EOS R5は電源がオンの状態で、カメラを使用中に給電するには色々と条件があるらしく…

  1. USB-PD対応
  2. 30W以上の出力(9V=3A以上の出力)

この2つの条件を満たしている場合に、カメラを使用しながらUSBでの給電が可能なようです。手持ちのAnkerのモバイルバッテリーが条件に合っていたので、そちらでUSB給電を試しつつ、他にもポータブルバッテリーやACアダプターなどで実験してみたので、書き残しておきます。

※以下の実験は、筆者の条件下でのものであり必ずしも動作を保証するものではありません。

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ちょっと分かりにくいのですが、給電中はバッテリーマークがグレーアウトします。
USB給電中はカメラ内のバッテリーは消費されませんが、カメラ内にはバッテリーを入れた状態でないと、カメラを使用することが出来ません。

カメラの電源をオフにすると、そのままバッテリー充電に切り替わります。バッテリー充電時の出力は、約5W前後となります。
LP-E6NHの容量が2130mAhで、Anker PowerCore III 19200 60Wが19,200mAhなので、単純計算でバッテリー9本分くらいの容量です。
モバイルバッテリーとしては軽くはない、Anker PowerCore III 19200 60Wですが、ポケットに入れて持ち運ぶことは可能なサイズ・重量なので、屋外での長時間の撮影中にバッテリー交換の手間を減らすことが出来そうです。

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EcoFlow RIVER miniのUSB-Cアウトプットは100Wの出力なので、条件的には余裕でクリアしています。USB給電はちゃんと可能です。
バッテリー容量は58,333mAhなので、単純計算でLP-E6NH、27個分になります!
ディスプレイには大体の使用可能時間が表示されるのですが、バッテリー残量99%で、残り使用時間の表示は20時間。カメラ使用中は消費電力の上下があったりと、この表示通りには使えないと思いますが、普通に撮影している分には、余裕で半日くらいは持ちそうです。
ポケットには当然入らないけれど、「ロケ撮影でカートとか使っている時には便利かも。」と、思いました。
けれど、ロケ撮影でカートを使う状況なら、筆者の場合はほぼ100%の割合で、PCと有線でのテザー撮影中なので、USB経由で給電しながらの撮影はできません…。
そもそもACが使用可能なポータブルバッテリーがあるなら、屋外でもDCカプラー(バッテリー型でACから電源が取れるもの)を使えばUSBでのテザー撮影と共存できます。それで、バッテリー交換せずに長時間カメラを使用するという目的は達成できます。
結局のところ、ポケットに入れたりして持ち運ぶことが困難な、ポータブルバッテリーでUSB給電をするメリットはあまり無さそうです。

ACアダプターたち

手持ちのACアダプターで試してみます。
左上から反時計回りに、

  • MATECH Sonicharge 100W 2-PORT
  • MATECH Sonicharge 100W Pro
  • Anker PowerPort III 65W Pod
  • AUKEY PA-F35

です。
Anker PowerPort III 65W Pod以外は終売となっているようで、Amazonでは見つけることが出来ませんでした。
MATECHの2つの充電器は名前の通り、USB-C接続で最大100Wまでの出力が可能です。

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MATECH Sonicharge 100W Proはレビューにも書いていますが、小型軽量かつ2ポートのUSB-Cで65Wと30Wの給電が同時にできるので、ノートPCへの給電とiPad Proの急速充電を同時にこなせて、持ち運び用として重宝しているので、終売となってしまっていたのが残念です。

MATECHのもう一つはUSB-Cが二口の充電器です。1ポート使用時は100W出力なのですが、前述のMATECH Sonicharge 100W Proと違い、2ポート使用時は45Wが二口になってしまうという微妙な仕様です。

Anker PowerPort III 65W Podは1ポートのみで、最大65Wの出力と割り切った充電器です。コンパクトなのでPCなどのACアダプターの持ち運び用に良いかと思って買いましたが、MATECH Sonicharge 100W Proに完全に出番を奪われ、自宅での待機要因になってしまっています。

最後に、AUKEY PA-F35はいつ買ったかも思い出せないくらい前に購入したものです。当時は充電器の出力とかもあまり理解しておらず、とりあえずUSB-CとUSB-Aが2つあったら便利かなくらいの気持ちでした。裏面の仕様を見てみると、USB-Cは20W(9V=2.22A)となっているので、カメラへのUSB給電はできなさそうです。

数字上のスペック通り、AUKEY PA-F35はUSB給電ができません。Anker PowerPort III 65W Podはちゃんと給電されます。

AUKEY PA-F35も電源オフ時のバッテリーへの充電は可能でした。

MATECHの充電器は2つともUSB給電可能です。
どちらの充電器もUSB-Cを2ポート使用していても、給電可能です。MATECH Sonicharge 100W Proの方は、65Wと30Wに振り分けられるので、PCへ65Wで給電しつつ、カメラへもUSB給電可能なので、やはりカメラマンの持ち運び用の充電器として非常に優れています。

ACアダプターでも、給電仕様の要件を満たしていればちゃんとカメラへのUSB給電が可能です。
ただし、ACアダプターでの給電の使用もかなり限られた条件のときにしか、役に立ちそうにはないです。

  • AC電源が使える → 主に室内(スタジオ)
  • 長時間カメラの電源を切らずに使用したい → 室内だとするとスチールよりはムービー?
  • USBでのテザー撮影はしていない → これも筆者の場合は室内ならムービーの場合くらい

上記のような状況で活用できそうですが、DCカプラーで事足りるので、DCカプラーを持っていない場合に、手持ちに充電器があれば代わりに使えるくらいのメリットしかなさそうです。

MacBook Pro (16-inch, 2019)からは給電できない

冒頭でも書いた通り、EOS R5はパソコンからは給電されません。
カメラの電源オフ時も、MacBook Proが電源に接続されていればバッテリーへの充電が開始されますが、MacBook Proがバッテリー駆動時は充電もされません。

USB給電のときのカメラの消費電力

色々と実験してきましたが、最後にカメラ使用中の消費電力も軽く確認してみたので書いておきます。だから何だという情報で、本当にどうでも良いことな気がしますが、もしここまでダラダラとした長文を読んでくれたような方なら、もしかすると多少の興味は持ってくれるかもしれません。
画面表示は「なめらかさ優先」です。

通常時、背面モニター表示で約6W。

ファインダー表示だと約9W前後。モニター表示より少しだけ消費電力が増えます。

高速連写時(AFはサーボ)、約11W。

4K・60fpsで録画時、約11W。動画も連写していようなものなので、高速連写時とほぼ同じでした。

メニュー画面表示、約3W前後と撮影画面のときの半分くらいになります。

この消費電力を知って、何になるのか。
正直、写真撮影には関係ないことなので、どうでも良い情報です。ただ、モニター表示よりもファインダー表示の方が消費電力が多いのは個人的には意外な結果でした(後になってよくよく考えたら、EOS R5の仕様を確認すれば、撮影可能目安の項目でモニターの方が枚数が多いので、当たり前の結果でした)。
充電も予備バッテリーもなく、カメラのバッテリーがピンチのときは、ファインダーを切って、モニターのみで撮影すれば、いくらかバッテリーの寿命を伸ばせそうです。

運用の仕方によっては役に立ちそうだがUSB給電が活躍する場面は限定的かも

長々と書いてきましたが、EOS R5へのUSB給電はバッテリーに必要な条件がやや厳し目な割には、使える場面が限定的だと感じました。
屋外で長時間撮影。バッテリーを交換する時間や手間が惜しい。というような場面で、ポケットに入るくらいのサイズのモバイルバッテリーでの運用時にちょっと役に立つかなくらいの感じです。
純正のLP-E6NHは高額なので、それを買い足すよりはモバイルバッテリーを買った方が安価で、モバイルバッテリーを他の用途にも使えるので、その部分ではメリットですが、テザー撮影でもないのにカメラにUSBケーブルを繋いで撮影するデメリットの方が気になりそうなので、個人的には実際に活躍する場面は少なそうだと感じました。
スマホ用にモバイルバッテリーを持ち歩いている方は多いかと思います。カメラの予備バッテリーを持って行き忘れたとか、バッテリーの充電を忘れていたときに、普段持ち歩くモバイルバッテリーをカメラにUSB給電できるものにしておくと、万が一のリカバリーにはなりそうです。

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