さよならCanon:SONY α7RV レビュー

さよならCanon:SONY α7RV レビュー

このページのリンクには広告が含まれています

EOS 5D Mark II から使い始めて、10年以上Canonのカメラを使ってきました。EOS R5 Mark II が発表され、色々思うところがあり、機材をSONYに入れ替える決心をしました。
用途的には、α1 かα7RV のどちらかがベスト。連写がそこまで必要ではないのと、より新しい世代のカメラの方が良かったので、α7RV をメインカメラとして購入しました。
まだ触り程度ですが、仕事の撮影で5000カットくらい撮影してみたうえで、EOS R5・EOS R6 Mark IIと比較してレビューします。

コンテンツ

良いと思ったところ

レスポンスの進化

α7RIV のレビュー時に気になっていた、カメラのレスポンスなどはすごく進化を感じました。カメラの起動もこんなに早かったっけと思うくらい早く、ボタン・ダイヤルなどの操作感もサクサクで、α7RIV で感じたネガティブな部分はほとんどありません。

TS-E 90mmを使用するために、SIGMA MC-11を買ったので、他のAFレンズも試してみましたが、EF24-70mm F2.8 L II などはAFも結構ちゃんと機能してます。
普通に使えそうな感じなので、そういった点でもボディが進化している気がします。

4軸マルチアングル液晶モニター

バリアングル・チルト液晶の良いとこ取りです。このブログ内でも、バリアングルが良いとか悪いとか、意見が二転三転してしまっているのですが、この良いとこ取りのモニターが最高です。基本的には光軸のズレがないチルト液晶が良いんですが、バリアングル液晶の動きがあると便利だと思う場面もあります。

カメラバッグにしまうときは、バリアングル液晶だと画面を内側に収められるので、輸送時の安心感が高いのもメリットの1つだと思います。
多少厚みが増してしまうデメリットはありますが、「可動式のモニターの最適解はこれだ」と思わせてくれるくらい便利です。

RAWサイズが選べる

6100万の高解像度はトリミング耐性も高く非常に有用ですが、ファイルサイズの大きさなどでやや取り回しの悪さを感じる場面もあります。
α7RIV を使っていたときもAPS-Cクロップして、2600万画素機として撮影することも多かったのですが、その場合は広角側が弱くなる欠点がありました。

α7RV はフルサイズのまま画素数を落とせるようになっているので、用途や目的によってサイズを選択できます。私はEOS R5とEOS R6 Mark IIの2台を画素数で使い分けていたのですが、それと同じようなことを1台でこなせるのはかなり便利です。

さらに、フルサイズでMサイズのRAW(2600万画素)撮影時に、APS-Cクロップすると自動的に2600万画素(RAWのLサイズをクロップした状態)になるので、特に意識せずにフルサイズとAPS-Cサイズを同じ画素数で撮影できます。
6100万画素あるゆえに、クロップしても2600万画素が担保されている点はかなり魅力的です。画素数的にはα1 の5000万画素で十分なのですが、クロップ使用のときの画素数も考えて(それだけの理由ではないですが)α7RV を選んだ部分もあります。

フルサイズの6100万・2600万画素機、APS-Cの2600万画素機の1台3役のカメラと考えるとコスパは抜群ではないでしょうか。※正確にはSサイズもあるので、さらに選択肢は多いです。

インターフェイス周り

HDMIはフルサイズ。CanonもEOS R5 Mark II で採用されたので、そこはやっと追いつきました。
シンクロターミナルはもう何年も使っていないし、シンクロケーブルも持ち歩いていないので、無くても良いのですが、あるとなぜか安心してしまいます。

ケーブルガードが付属しているのも好感が持てます。
ただ、サイズが大きいのとUSB-C端子だけを使いたいときにも、HDMI端子側もカバーを開けないと装着できないので、テザーケーブルのテザーガードサポートを使っています。

テザー撮影が安定している?

ブログ内でもテザー撮影について色々と書いてきましたが、テザーの不安定さはCanonのカメラにも原因があるような気がしてきました。

現状ではα7RV に変えてからは、かなり安定してテザー撮影できています。まだ様子見の段階なので断言はできませんが、EOS R5やEOS R6 Mark IIに比べて、α7RV の方がテザー撮影が安定している印象です。
Capture Oneの公式フォーラム上でも推奨している、USB接続時のカメラへの給電をOFFにできる機能があるのもSONYのカメラのメリットだと思います。

AF・連写

私の使い方(主にポートレート・静物)では、EOS R5・EOS R6 Mark II ともに、AFに関して不満はないです。α7RV もEOS R5 と遜色ないレベルのAF性能だと感じました。
α7RIV の時点でほとんどAFに関する不満はなかったですが、α7RV はAIプロセシングユニットを搭載したことで、背中を向けている人物も認識する精度が高くなっていたりと、より高性能になっています。

ポートレートや静物撮影では、もはやAF・連写に関してはEOS R5の時点で十分すぎる性能だと思っていました。EOS R5 Mark II が発表され、正統進化だとは感じましたが進化している面がAFや連写などのスポーツや動きモノなどの方向性が多く、個人的にはそこに価格が上がった分の魅力は感じませんでした。個人的には動きモノに対する性能はそこまで求めておらず、EOS R5 Mark IIのようなオールマイティさはそこまで必要性を感じませんでした。高解像や連射性など、SONYの方が明確にカメラごとに分けているのも、マウント変更に至った理由です。
スポーツや野鳥などを撮影する場合は、また評価は変わってくると思いますが、普通のポートレート撮影などをしている分には、SONYとCanonのAFに大きな差は感じません。

カードスロット

ダブルスロットで、両方がCFexpressとSDの両対応となっていて、好みや用途でユーザーが選択できるのは良いところです。
ただ、残念なのはCFexpress Type Aなところです。ただでさえ高価なCFexpressの中でも、Type Bと比べてさらに高いので、導入コストが高めです。しかし、EOS R5と違って両方のスロットをSDカードで運用も可能なので、ダブルスロットが必須の場合に、SDカードを2枚使ってコストを抑えることも可能。逆に最高性能を求めてCFexpressを2枚使うこともできます。ユーザーの都合に合わせて、選択肢が多いところは好感が持てます。

クリエイティブルックが意外と面白いかも

クリエイティブルックはCanonで言うところのピクチャースタイルのような機能です。Canonのピクチャースタイルは、「スタンダート」「ポートレート」「風景」など一般的なものが多く、色味も基本的には忠実です。それに対して、SONYのクリエイティブルックは、設定によってはクセがかなり強く出ますが、好みに合えばjpeg撮りっぱなしで良い感じの仕上がりにできます。

個人的には「FL」が気に入りました。FLは「落ち着いた発色と印象的な空や緑の色味に、メリハリのあるコントラストを加えることで雰囲気のある画像に。」という説明のように彩度低めの発色になります。
上記の写真はすべて絞り優先オートで撮影していますが、コントラストが上がる分適正露出で撮影すると空がやや飛びがちかなとい印象です。

左が、FLを適用したjpeg。右が同時記録したRAWデータをCapture Oneで調整無しで書き出したものです。これも絞り優先オートですが、露出補正を-0.3にしています。FLはちょっと露出をアンダーめに撮るくらいがちょうど良いかなと感じました。
完全にカメラ任せでというわけにはいかないですが、結構簡単にSNS映えしそうな雰囲気が出せるのは便利です。さらにカスタマイズ値として、コントラストなど8項目を細かく設定できるので、独自の表現として設定を詰めていくこともできます。

気になったところ

EOS R6 Mark II と並べてみます。
SONYは直線が基調で、Canonは曲線が基調のデザイン。カメラの見た目は、正直そこまで気にしていませんが、個人的にはCanonの方が好み。
見た目で分かるようにSONYの方が、一回りくらいコンパクトです。重量は、EOS R5 とα7RV はほとんど同じで、EOS R6 Mark IIはやや軽いです。コンパクトな分収納性はα7RV の方がちょっとだけ良いのですが、ほぼ誤差の範囲内だと思います。

バッテリーグリップはCanonの方が良い

α7RIV のレビューでも触れていますが、SONYのバッテリーグリップは相変わらず取ってつけた感があります。

SONYのバッテリーグリップは、ボディ底面との間に少し隙間があります。バッテリーグリップの握り心地もCanonの方が断然良いです。

2台並んだ写真からも分かるように、SONYのバッテリーグリップは握りの部分に高さがあります。
そのため、縦位置で構えたときに背面のホイールが遠くなり操作しづらいです。Canonはこのあたりの作りが上手く、縦位置で構えたときにも横位置とほとんど操作感が変わりません。

バッテリーグリップはα7RIV やα1 などの古いボタン配置のボディと合わせられているので、α7RV とはシャッター周りの配置が違います。
バッテリーグリップは高価なので、ボディが新しくなる度に買い直すよりは、何世代か使い回せるほうが嬉しいですが、操作系のズレは気になってしまう点です。

そもそも、お世辞にも高級感があるとは言えないこのグリップが、定価で4万5000円くらいとかなり高い。フラッグシップのα1 がバッテリーグリップ一体型のボディでないことからも、SONYはそもそもバッテリーグリップの使用をあまり推奨していないような気がします。

Canonを使っていたときは、すべてのカメラにグリップを付けていたので、今回もあまり何も考えずにボディと一緒に買ってしまいましたが、正直買わなくても良かったかもと思っています。

グリップ感

そもそもバッテリーグリップを付ける前提なので、ボディ自体のグリップ感はそこまで気にしていませんが、グリップ感は良く、ボディ単体でも小指が余ることもありません。

ただ、気になったのがシャッターボタンとダイヤルの位置関係です。
SONYはダイヤルがシャッターボタンの前、Canonはダイヤルが後ろになっています。慣れの問題もありそうですが、片手でカメラを持つ場合は圧倒的にCanonの方がカメラが安定して、ダイヤル操作がしやすいです。

シャッターボタンの角度なども、個人的にはCanonの方が操作しやすいと思います。手の大きさなども関係するので一概には言えませんが、SONYは全体的に操作がやや窮屈です。
他にもボディ後ろ側の親指の引っ掛かり具合など、細かい部分の使い心地はCanonの方が優れていると感じます。

ボタン配置・カスタマイズ

カスタマイズ可能なボタンの数などは、ほとんど差がなくSONY・Canonどちらもかなり自由度が高いです。
Canonが頑なに採用し続けている、カスタマイズすら割り当てられないRATEボタンのようなものが無い点もSONYは好感が持てます。
ただ、私の使い方では必須レベルのフォーカスモードの切り替えが、α7RV ではボタン1つで切り替えることができないのが不満です。

カスタマイズに関しては、現状ではCanonの方が良いと思っています。ただ、操作に関しては慣れの部分が大きいので、しばらく使っていくうちに評価は変わるかと思います。SONYのカメラも十分に好みに合わせてカスタマイズできる自由度はあります。

ボタンの配置に関しても、Canonの方が押し間違えないというか、見ずに操作するときに迷わないようにできていると思います。微妙なボタンの高さ・配置・押し心地などはCanonの方が好みです。

ファインダー・モニター

α7RV の方がスペック的には圧倒的にファインダー解像度が高いのですが、EOS R5の方が自然な見え具合に感じます。感覚的な部分なのでなんとも言えませんが、α7RV の方が映像っぽい(どっちも映像なんですが…)感じが強い気がします。それでも、α7RIV に比べたらはるかに良くなってはいると思います。

電子シャッターに音がつけられない

EOS R6 Mark IIでは、電子シャッターにシャッター音が付けられるようになっています。メカシャッターの耐久性の点でも、電子シャッターは状況に応じて積極的に使っていきたいと思っています。
人物撮影のときなど、電子シャッターでもシャッター音が欲しい場面は多いので、音をつけられるようにして欲しいです。

HDMI出力のときにカメラのモニターと同時に表示する設定が分かりづらかった

たいしたことではないのですが、HDMI接続時に外部モニターとカメラモニターとの同時表示をする設定が分かりづらかったです。
「HDMI情報表示 なし」にするとカメラと外部モニターの両方に表示されるようになります。SONYのカメラを使ってる人なら勝手知ったるなのかもしれませんが、初見で気がつくのは難しいと思います。
でも、調べればすぐに分かることなので、カメラの評価としては別にマイナスではないけれど、備忘録として書き残しておきます。

乗り換えたことに後悔はない…

一度SONYに切り替えかけたときに、Canonに引き戻してくれたのはEOS R5でした。そして、結局SONYに乗り換える決心をさせたのは、皮肉にもEOS R5 Mark II です。
EOS R5 Mark II が発表されて、タッチアンドトライも参加しましたが、私が求めていたEOS R5の進化の方向性ではなかったです。
SONYのキャッシュバックや8/1からの価格改定なども相まって、中途半端なことはせずに一気にSONYへ乗り換えました。α7RIV のときに感じたネガティブな部分は、ほとんど改善されて道具としての使いやすさが増し、洗練された印象です。

  • EOS R5 Mark II の進化の方向性がスポーツ・報道寄りだった
    正統進化だとは思いますが、私が求めていたのはこの方向性ではなかったです。
    そっちはR1に任せて、EOS R5は高解像度機としての方向性で詰めてほしかった。高画素に振って、SONYみたいにRAWのサイズが選べるバージョンのEOS R5 Mark IIが出たら、ちょっと悔しくはなりそうですが、それはないだろうなって思っています…。
    あと、タッチアンドトライのときにオススメされたのが、ノイズ低減とアップスケーリングって…。それじゃない感がすごかったです。視線入力は初体験でしたが、上手く使えば便利そうだと思いました。
    ※予約はかなり入っているようですし、実際に発売されて使ってみれば評価は変わりそうな気もします。それでも、個人的にはそうじゃない感が強すぎたのが決別する決心をさせました。
  • テザー撮影が不安定な気がする
    テザー撮影の不安定さについてこのブログ内でも色々と書いています。
    ケーブルなども関係があるとは思いますが、カメラ自体にも問題があるような気がしています。SONYに切り替えてから、EOS R5・EOS R6 Mark IIで感じていた不安定さは、今のところありません。
    ※テザー撮影はマニアックなことで、ネットでもあまり情報がありません。もしCanonのカメラを使っていて同じような不安定さを感じている方がいたら、コメントなどで情報共有してもらえると嬉しいです。
  • RFマウント
    レンズはどっちかと言えば純正の方が良いとは思いますが、それでもサードパーティーメーカーの選択肢がある方が好ましいです。SIGMAやTAMRONの影響かどうかは分かりませんが、SONY純正でもニッチなスペックのレンズが多いのも良いところだと思います。
    個人的にRFマウントの優位性の一つでもあった、F2.0通しの標準ズームをSONYも出すようなので、そこも乗り換えを後押ししています。

乗り換えた理由としては上記が大きいです。
道具としてのカメラの使いやすさは、完全にCanonが上だと思っています(ただ、テザー撮影に関しては疑問が残ります)、けれど、RAWのサイズ選択や液晶モニターなど、出し惜しみ無く機能が追加されていく感がSONYにはあります。α7CIIにAIプロセシングユニットが搭載されていたりと下位機種(価格帯の安い機種)にもしっかりと最新の技術が投入されます。

以前は、道具としての操作性などのカメラの使い勝手の部分で、SONYへの乗り換えは止めました。
ただ、ここ数年でSONYの成熟度は増してきていると感じました。いち早いグローバルシャッターの採用など、Canonの半周先にいるイメージです。
ボディラインナップ的にも選択の幅が広く、レンズの選択肢の多さも含めて、Eマウントはシステムとして柔軟性が高いです。
さよならCanon、また会ったねSONY。この選択に後悔がなかったと思わせてくれるくらいSONYには頑張ってほしいです。

ちなみにEOS R5もEOS R6 Mark IIも間違いなく、良いカメラです。

サブカメラにはα7CIIを選びました。
α7 IVと迷いましたが、今回は新しさとコンパクトさを重視しています。ラインナップの広さもSONYの魅力の1つだと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます!
コメントなどが記事作成のモチベーションとなります。
記事の感想・質問・意見・要望などありましたらお気軽にご連絡ください!

Tanaka Toshiyuki
都内在住フリーランスのカメラマンです。
ファッション・ポートレート・物撮りなどを中心に活動しています。

このブログではカメラ・機材やガジェットなど撮影に役立つものを中心に紹介しています。

記事が参考になったり、気に入ったらSNSのフォローをしてもらえると嬉しいです!

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

コンテンツ