こんにちは、フリーランスフォトグラファーのTanaka(@toshiyuki_tanaka_photographer)です。
自宅で小物を撮影していると、ライトの明るさよりも「光の当て方のコントロール」に難しさを感じるシーンがあります。
商品の一部分だけを明るくしたい。
窓から差し込んだ光のような雰囲気を作りたい。
そんなときに便利なのがプロジェクションレンズ。
ただ、本格的なものは大きくなりがちなので、限られたスペースで、ちょっとした撮影をするために用意するのは大変です。
そこで今回使ってみたのが、SmallRigの「RF20C ポータブルズームライト」と、別売の「SP Airスポットプロジェクションレンズ」。
RF20Cは、懐中電灯のような形をした20Wの小型LEDライト。SP Airを装着すれば、ゴボの投影や光のピント調整にも対応します。
実際に仕事の現場で使うかと聞かれると、微妙なところもあります。ただ、狭いスペースなど条件が限られた場所であれば、仕事の撮影でも使いどころはありそうです。
自宅での物撮りで光をもう少し細かくコントロールしたい人にとっては、かなり面白いライトだと思いました。
RF20C+SP Airのメリット・注意点

先に、この組み合わせのメリット・注意点と、どんな人に向いているかをまとめます。
メリット
- 小型かつバッテリー駆動で、自宅などの狭い場所にも設置しやすい
- RF20C単体でも、ライトを動かさずに照射範囲を変更できる
- SP Airを装着すると、ゴボの投影やピント調整、シャッターによる光の成形が可能
- 本格的なプロジェクションライトよりも、手頃な価格で試しやすい
注意点
- カラーは決められた5色のみで、色を切り替えると照射位置が少しずれる
- SP Airのシャッターから光が滲む場合がある
- 20Wの小型ライトなので、広いスタジオや大きな被写体を照らす用途にはあまり向かない
向いている人
RF20C+SP Airは、自宅や狭い場所で小物を撮影していて、背景や商品の一部分を狙って照らしたい人に向いています。
業務用のプロジェクションライトを置くほどのスペースはないものの、「いつもの物撮りに少し変化を加えたい」「光と影をもう少し細かく作り込みたい」という人には、特に使いやすい組み合わせです。
20Wの懐中電灯型LEDライト「SmallRig RF20C」

RF20Cは、5600Kの白色光に加え、赤、紫、オレンジ、シアンの5色のLEDを搭載したポータブルライトです。

出力は20W。先端のレンズ部分を前後へスライドさせることで、照射角を24度から60度まで変えられます。
本体サイズは直径49mm、長さ200mm。公式重量は520g±20gで、今回実測した重量は約503gでした。

手に持つと金属の塊感があり、極端に軽いわけではありませんが、ライトの明るさを考慮するとかなりコンパクトです。

バッテリーは5000mAh/36Whで、最大出力時の連続点灯時間は約1.5時間。
実際に作例撮影などで使ってみた感じもほぼスペック通りのバッテリー持ちという印象でした。USB Type-Cによる充電と給電にも対応しています。
13,890円と決して安くはない価格ですが、本体は金属製で、価格に見合ったしっかりした作り。RF20Cは放熱口や操作部も含めてきちんと作られている印象です。
3カ所のネジ穴で設置の自由度が高い


本体の底面と側面2カ所には、合計3つの1/4インチネジ穴があります。

本体が約503gと比較的軽く、あとで紹介するプロジェクションレンズを装着しても1kg未満なので、大型のライトスタンドを用意しなくても、小型スタンドやマジックアームで固定できます。
さらに、バッテリーを内蔵しているので、電源ケーブルの取り回しを考える必要もありません。もちろん電源につないだまま使うこともできるので、長時間撮影でもバッテリーの心配も少なくて済みます。
広いスタジオでは機材の大きさをそれほど気にする必要もありませんが、自宅ではスタンドを置く場所も、ライトを動かせる範囲も限られます。このサイズと設置の自由度は、狭い場所で使うほど大きなメリットになります。
ライトを動かさずに照射範囲を変えられる
RF20C単体で便利なのが、先端を前後へ動かすだけで照射範囲を変えられるズーム機構です。
一般的なライトで照射範囲を変えようとすると、ライト自体を被写体へ近づけたり、遠ざけたりする必要があります。しかし自宅では、ライトを少し後ろへ下げようとしても、十分なスペースが取れないことが多いです。


RF20Cなら設置位置を大きく変えずに、スポット光から広めの光まで調整できます。被写体や背景に合わせて照射範囲を変えられるため、限られたスペースでは思っていた以上に便利でした。
ただし、ここで調整できるのは照射範囲であり、光のエッジや投影するゴボのピントではありません。
ライト単体の光は輪郭が少し滲みます。個人的には、この曖昧な境界も表現として使えると思いますが、プロジェクターのようなシャープな光を期待すると少し残念な印象を受けそうです。
5色を使えるが、色によって光の位置がずれる
RF20Cは、5600Kの白色光、赤、紫、オレンジ、シアンを切り替えて使用できます。

フルカラーのRGBライトのように、色相や彩度を細かく調整する方式ではありません。5色のチップが配置されていて、それを切り替えてカラーを変更します。

そのため、色を切り替えると、照射する光の位置もわずかにずれます。
背景を大きく照らす場合にはそれほど気になりませんが、商品の一部分へピンポイントで光を当てた状態で色だけを変えたいときには、その都度ライトの向きを微調整する必要があります。狭い範囲を狙えるライトだからこそ、この位置のずれは少し気になりました。
ただ、決まった5色しか使えないので、正直なところそれほど実用性はなく、個人的にはカラー機能はおまけ程度に考えておいたほうが良いと思いました。
付属ゴボは手軽だが、ピント調整はできない

RF20Cには、シリコン製のゴボホルダーと20枚のPVC製ゴボが付属しています。

格子や直線、丸、三角形など種類は豊富で、ライト単体でも手軽に模様を投影できます。
ただし、RF20Cだけではピントを合わせることはできません。


シリコン製のゴボホルダーは持ち運び時などに、潰してコンパクトに携行できます。
ホルダーはライトの先端にはめ込んで使います。きつくもゆるくもなく、普通に使っている分には取れそうにもなく、使い勝手はまずまずです。

投影する影の大きさとボケ具合は、ライトと被写体の距離によって変化します。そのため、望んだ大きさと輪郭を得るには、ライト自体を前後させながら使える位置を探す必要があります。

上記作例では、ライトをかなり近い位置に置き、照射範囲を一番狭い状態にして当てています。
このくらいの距離だと影のエッジもまあまあシャープで、ちゃんとゴボの形状が出ています。ライトの出力的にも1灯で十分に明るく、手持ちでも余裕で物撮りできるくらいのシャッタースピードが稼げます。
このように、少しボケた影でライティングするなら十分に使えますが、物撮りで「商品のこの位置へ、この大きさの影を入れたい」などのように、完全に光をコントロールするのは困難です。
RF20C単体でも照射範囲や形状を変えられるスポットライトとしては使いやすいものの、光を細かく作るなら、別売のSP Airスポットプロジェクションレンズが欲しくなります。
物撮りで使うならSP Airはマストバイ

SP Airスポットプロジェクションレンズは、RF20CとRF 10Cに対応する別売のアタッチメントです。実測で約323g。RF20Cと組み合わせた状態では約826gになります。
本体には金属製のゴボと、ゴボホルダーが付属しています。

一般的なCOBライトとプロジェクションレンズの組み合わせと比べれば、かなり小型軽量です。全長が伸び、やや前方へ重心が移るため、横向きに設置する場合はスタンドや雲台をしっかり固定する必要がありますが、自宅でも無理なく扱えるサイズに収まっています。
SP Airを装着すると、RF20C単体で使えた照射範囲のズームはできなくなります。
照射角は36度に固定される代わりに、投影する光へピントを合わせられるようになります。SmallRigによると、ピント調整範囲は0.25mから無限遠。

RF20C単体では滲んでいた光のエッジがはっきりし、ゴボの模様もシャープに投影できるようになります。プロジェクションレンズに求めているのって、こういうくっきりとしたシャープな投影だと思います。
自宅物撮りを目的にするなら、RF20C単体よりも、SP Airまで組み合わせて使うことでかなり便利なライトになります。
ピント調整できるから、シャープにも柔らかくも使える




SP Airには、10枚の金属製ゴボが付属します。ゴボはかなり薄く軽いです。直径は約40mmと小型。
格子や放射状の模様など、半分くらいは物撮りに使いやすいパターンだと思いますが、正直使いどころがなさそうなものもあります。ゴボはマグネット式のホルダーに取り付け、本体に差し込むだけなので、交換も簡単です。


ピントリングを回せば、輪郭のはっきりした影から、あえて少しピントを外した柔らかい影まで調整できます。ライトの位置をほぼ変えず、ピントリングだけで影の輪郭を追い込めるのはかなり便利でした。
ライト単体に付属するゴボよりも、物撮りでの使い道は明らかに広がります。
シャッターから光が滲むのは惜しい

SP Airには、光を上下左右から切るための4枚のシャッターが付属しています。

円形の光を三角形にしたり、一部分だけを細く残したりできるため、商品の一部分だけを照らすような使い方ができます。
このコンパクトで比較的安価なプロジェクターに、しっかりとシャッター機能までついているのはかなり嬉しい点です。

ただし、シャッターはかなり薄い金属板で、差し込んだ部分の光が完全には消えません。半分シャッターを閉じていますが、透けた光が緑色の滲みとして出てしまっています。
明るさやシャッターの閉じ方にもよりますが、場合によってはこのように滲みが目立つこともあります。
コンパクトさや価格を考えると大目に見てあげたいところですが、使っていてちょっと惜しいなと思った部分でした。
実際に自宅で小物を撮ってみた(作例)
ここからは、RF20CとSP Airを使って、実際に小物を撮影してみます。
商品の一部分にだけ光を当てる

さきほど気になった、シャッターを透過した光の滲みも、撮影状況次第ではほとんど気にならないレベルになります。
このように一部分にだけライトを当てるようなライティングをこのコンパクトなRF20CとSP Airだけで作り出せるのはかなり画期的だと思いました。


スポットライトだけだと影の部分が暗すぎると感じたら、上記のセッティング写真のように、ストロボを壁や天井にバウンスさせて、全体的な露出を調整してあげることで、影の部分が少し見えるようにも撮影できます。
窓から差し込むような影を作る

格子状のゴボを使うと、窓からブラインド越しの光が差し込んだような影を作れます。
実際の窓からの光と違い、天候や時間帯に左右されず、好きなときに撮影できるのもメリット。窓からの光の場合は撮影場所も窓の近くなどに限られてしまいますが、ライティングの場合は移動することができるので、撮影の自由度が格段に上がります。
ただ、1灯での撮影だと「ゴボを使った写真」という印象が少し強くなる気もします。そういうときは先ほどのように、他のライトをフィルライトとして足してあげることで、より自然光に近い雰囲気を作りやすくなるので、色々と試行錯誤してみるのも楽しいと思います。
背景と商品を別々に照らす
RF20CとSP Airは、メインライトとしてだけでなく、ほかのライトにアクセントを加える用途でも活躍してくれます。

背景にはRF20Cにゴボを装着したカラーライトを、商品にはグリッド付きのLEDライトを当てています。

ミニLEDライトの記事で紹介したのと同じ方法でのライティングなのですが、プロジェクターを使うことで、窓から青い光が差し込んでいるような不思議な演出が可能です。
ゴボなしでもアイデア次第で色々な演出が可能


手軽に硬い光を当てるライトとしても使い勝手は抜群です。
シャープで濃い影を作りやすいので、アルミのパンチング板をゴボ代わりに使ってみたり、ガラスの影と反射を入れてみたりと、様々な演出ができます。
SmallRigのRC60BのようなCOBライトほどの光量はないものの、近くから当ててもシャープな影を作ることができ、狭い範囲に絞ればかなりの明るさのライトなので、狭いスペースでの小物撮影との相性は抜群に良いと感じました。

仕事の撮影で必須ではないが、自宅物撮りでは使い勝手が良い

RF20Cを、実際の仕事の現場で必ず使うかと聞かれると、筆者の場合は微妙なところです。
十分な撮影スペースがあり、光量や精度を優先するのであれば、より本格的なライトとプロジェクションレンズを選ぶと思います。SP Airのシャッターから光が滲むことを考えても、完全に業務用機材の代わりというわけではありません。
一方、自宅や狭いスペースで小物を撮る場合、RF20Cのコンパクトさとバッテリー運用は明確なメリットです。ライト単体でも、設置位置を変えずに照射範囲を調整できます。SP Airを組み合わせれば、商品の一部分だけに光を当てたり、背景へシャープな影を加えたりと、さらに細かなコントロールが可能になります。
価格的にもセットで20,000円ほどで揃えられるので、本格的なプロジェクションアタッチメントと比べれば比較的安価に試すことができます。
狭い場所で物撮りをしていて、「もう少しライティングに個性を出したい」「この部分にだけ光を当てたい」と感じることがある人なら、買って後悔する可能性は低いと思います。

RF20C単体は、20Wの出力とズーム機構を持つ、扱いやすい小型スポットライト。そこへSP Airを追加すると、光の輪郭や影を細かく調整できる、小型のプロジェクターシステムへ変わります。本来なら大掛かりになりがちなプロジェクターライトを、自宅の限られたスペースで手軽に扱える。そこに、この組み合わせの一番大きな価値があると感じました。
