こんにちは、フリーランスフォトグラファーのTanaka(@toshiyuki_tanaka_photographer)です。
以前の記事では、SmallRigの小型プロジェクターライト「RF20C」と、スポットプロジェクションレンズ「SP Air」を自宅でのブツ撮りに使ってみました。
狭い範囲を狙って照らしたり、ゴボで背景に模様を加えたりできるSP Airがブツ撮りではかなり便利でした。
では、ポートレートではこのライトはどのくらい使えるのでしょうか。
今回はRF20C単体のスポット・フラッド、SP Airを装着した円形の光やシャッター、ゴボなどを使い、実際にモデル撮影で試しました。
ポートレートの作例をお見せしながら、使用感を紹介します。
RF20Cは近くで使っても余裕で全身を照らせる

まずはSP Airを取り付けず、RF20C単体で照らしてみます。
ライトからモデルまでの距離は約1.5m。ポートレートのライティングとしては比較的近い距離ですが、RF20Cのズームをフラッド側にすれば、全身まで余裕を持ってカバーできます。


ライトの距離は同じでも、スポット側では、モデルのバストアップくらいの範囲まで光が狭くなります。

最大までスポット側にしたバストアップの写真は、ライトの距離約1.5m、1/800秒、F2.5、ISO500で撮影しています。小型のバッテリーライトですが、手持ちでのポートレート撮影にも十分な明るさがありました。
フラッド側にすると、中心部の明るさはスポット側より約1.5段暗くなります。それでも明るさにはまだ余裕があり、ポートレート撮影でもしっかり使えるレベルの光量です。
RF20C単体でも、照射範囲を変えるだけで全身からバストアップまで対応可能。
ライトの距離を大きく変えずに光の広がりを調整できるので、撮影スペースが限られる場所でも使いやすいです。
RF20Cの柔らかいエッジはポートレートと相性がいい
ブツ撮りで使用したときは、RF20C単体だと光のエッジに少し滲みがあり、輪郭がシャープにならないことが気になる場面がありました。ただ、ポートレート撮影だと、逆にこのボケと周辺の色づきが味となり、良い雰囲気を出しているのではないかと感じます。

光と影の境界が硬くなりすぎないため、人物になじみやすく、スポットライトらしい強い印象のライティングながら、少し柔らかい雰囲気にも見えます。
輪郭に多少の色づきがあるのも、ちょっとしたアクセントのようにも見えるので、それほど気になりません。
SP Airを装着したときのようにシャープなエッジは作れませんが、気軽に照射範囲を変えたい場合は、ズーム機能のあるRF20C単体のほうが扱いやすい場面もありそうです。
SP Airを装着すると光がよりグラフィカルになる

次にRF20CへSP Airを装着し、同じく約1.5mの距離から照らしてみました。

この距離で投影できる円の大きさは、バストアップがちょうど収まるくらいです。RF20C単体を一番スポット側にした状態より、やや広めの印象です。
SP Airを装着すると、ピント調整が可能になるので、光のエッジをシャープにできます。
輪郭部分には若干の青っぽい色づきが見られるものの、RF20C単体より明確な円を作れるため、人物と背景を組み合わせたグラフィカルな表現がしやすくなります。

背景用のカラーライトと組み合わせると、SP Airが当たった部分は輪郭のはっきりした白い円として残しつつ、周囲の影には色を乗せるといった変化をつけられます。

シャッターを使えば目元だけに光を当てられる

SP Airには4枚のシャッターが搭載されており、光の形を細かく変えられます。
シャッターを上下から閉じて細長い光を作り、目元だけに当ててみました。

顔全体を明るくするライティングとは違い、光と影を大胆に使った写真になります。
シャッターの角度や幅を少し変えるだけでも印象が大きく変わるため、撮りながら面白い光の形を探してみるのも楽しいです。

1灯のみのライティングだと、光が当たっていない部分はかなり暗く落ちます。
2.5mまで離せば膝上くらいまでカバーできる
ズーム機能のないSP Airの照射範囲を広げるには、ライトとモデルの距離を離す必要があります。
約2.5mまで離すと、円の中に膝上くらいまで収められるようになりました。

このときの撮影設定は1/320秒、F2.5、ISO1250。
ライトの距離が離れるぶん明るさは落ちますが、まだまだ手持ちで人物を撮影できる程度の光量は残っています。
小物のブツ撮りの場合は、ライトを被写体にかなり近づけて撮ることが多いので、照射範囲の狭さよりも、SP Airのピント調整やシャッターによる光の変形といった利便性が上回りました。
一方で、ポートレートなどの大きな被写体で使うには、照射範囲がやや狭く、ライトと被写体の距離を大きく取る必要があり、それに伴って光量も低下するため、少し使いづらさを感じました。
小物のブツ撮りでは、RF20CにはSP Airが必須に近いアイテムだと思いましたが、ポートレートで使う場合は、RF20C単体でも十分に活躍してくれそうです。
ゴボを使って背景や人物に模様を加える

SP Airに付属するゴボを使うと、格子や窓のような模様を投影できます。

この作例では背景へ模様を作るだけでなく、人物にも影がかかるようにライティングしてみました。
ただ背景に模様を入れるだけとは違い、光と影そのものを写真の構成要素として、個性的な雰囲気を演出できます。

RF20C本体に付属するゴボも試してみました。

三角形のゴボは角の形が少し崩れてしまいましたが、雰囲気を加える用途ならアリだと思いました。
SP Airほど輪郭がシャープではないので、プロジェクターによるライティング感がやや弱くなり、自然になじみます。
光を正確に操りたいならSP Air、自然になじむ光の模様を手軽に加えたいならRF20C付属のゴボ、という使い分けができそうです。
RC60Bと比較してみる

比較として、SmallRigのCOBライト「RC60B」も約1.5mの距離から照らしてみました。

リフレクターを装着したRC60Bは、バストアップをほどよくカバーできるくらいの広がりです。
撮影場所の天井が低い影響もあり、光が全体的に回っています。


RC60Bでの撮影設定は1/640秒、F3.5、ISO320。
RF20C+SP Airでは同じ1/640秒、F3.5でISO640だったため、明るさの差は約1段です。
RC60Bは中心がもっとも明るく、外側に向かってグラデーションで暗く落ちていきます。対するRF20C+SP Airは光が当たっている円形の部分は均一な明るさとなります。
どちらも、コントラストが強く硬いライティングという点は共通していますが、並べてみるとリフレクター付きのCOBライトとスポットライトの雰囲気の違いが感じられると思います。
似たようなライティングでも、光の性質によって結構な変化があるので、表現したい写真に合わせて、ライティング機材を選ぶことも重要です。
ポートレートならRF20C単体でもかなり遊べる

ブツ撮りで使用したときは、ピント調整が可能で、シャッターによって光の形状も変えられるSP Airを、マストバイに近いアクセサリーだと感じました。
一方、ポートレートではRF20C単体でもかなり使いやすく、これだけでも十分に光で遊べます。
約1.5mという比較的近い距離から全身まで照らせるので、狭いスペースでもライティングの幅が広がります。光の輪郭の適度なボケや色づきも、人物撮影ではむしろなじみが良く感じました。
SP Airはポートレート撮影の必須装備というより、円や直線、ゴボによるさまざまな模様など、光と影をより正確に操るためのツール。シャープな影を作りたい、目元だけに光を当てたい、背景へはっきりした模様を投影したいといった目的があるなら、追加する価値は十分にあります。

モデル:深井モエカ(@shinnimoeka)
RF20C単体でも実用的なポートレートライトとして使え、SP Airを装着すれば、そこからさらに表現の幅を広げることもできます。RF20Cは、小型でバッテリー駆動なので、気軽に撮影場所へ持ち込むことが可能です。少ない機材で少し変わったライティングを楽しみたい人には、RF20CとSP Airは面白いライトになると思います。


