目を引くカラーとシンプルなデザインが調和した遊び心満点の腕時計:FARER RESOLUTE SORBET 36MMレビュー

FARERはイギリスのマイクロブランドです。
日本には販売している代理店はないのですが、FARERの公式サイトから簡単に購入することができます。
FARERを知ったきっかけは、36mmのGMTウォッチのレビューでした。このGMTウォッチに、パット見で心を奪われてしまったのですが、実物を見ることが出来ない時計を買うには少し高価かなと。それでも気になってしまって、FARERのサイトを眺める日々を過ごすうちに、シンプルな3針で36mmの小ぶりな時計も気になり始めました。このThree hands 36mmのシリーズは、GMTに比べればお手頃な価格なので、もう思い切って買ってしまおうと。
おそらく日本人では、FARERの唯一の実機レビューだと思います。

注文から約1週間でイギリスから到着

買うと決めたなら、善は急げです。
Three hands 36mmシリーズには4種類のカラー・デザイン違いの時計があります。
散々サイトを眺め、白文字盤の時計が好みなので、最初は白文字盤の時計を買おうとしていました。
けれど、FARERのHPを見ると分かるかと思いますが、FARERの時計は他ではあまり見ないような独特の色合いの時計が数多くラインナップされています。そういったカラー展開もFARERの時計の魅力の1つだと思ったので、せっかくだから冒険しようという気持ちになりました。そういうわけで、RESOLUTE SORBETというピーチカラーのダイアルの時計を注文しました。

注文から約1週間という早さで、イギリスからやってきました。

細長くて手触りの良いベロア調のケースを開けると、待望のRESOLUTE SORBETが鎮座しています。
ギャランティーカードと取扱説明書、時計を拭くためのクロスが同封されています。

時計のストラップはレザーだけでなく、金属製のミラネーゼストラップやラバーストラップも用意されていて、好きなものを選ぶことができます。
この時計は針や数字のインデックスが、青が基調となったデザインなので、それに合わせたブルーのレザーストラップを選びました。

シンプルなケースに映えるピーチカラー

時計は白文字盤が好きで、洋服も黒・白と無彩色のものばかり着ている私からすると、この時計の文字盤はかなりの冒険です。
注文するときは、テンションが上っていたので、これしかないという気分でチェックアウトしました。けれど届くまでの一週間、本当にこれで良かったのか、無難に白にした方が良かったのではないかとモヤモヤしていました。しかし、そのモヤモヤは届いた時計を見たら吹き飛んでしまいました。

シャーベットのピーチを意識したカラーのダイヤルは、サーモン・オレンジ・ピンクとも違う、不思議な色をしています。他ではお目にかかれない珍しい色の文字盤は、一見すると派手ですが、不思議とシックな印象もあります。
文字盤上の数字は、立体感があります。クリーミーイエローのスーパールミノバが塗布された数字にはマットブルーのペイントが施され、視認性の良さとレトロ感を両立させています。
FARERのロゴも丁寧にペイントされていて、全体的に文字盤の質感が高いです。

ケースサイドとベゼルは丁寧に磨き上げられた、ポリッシュ仕上げです。ラグのサテン仕上げとのコントラストが、はっきりとしています。細身のベゼルと相まって、シンプルながらもシュッとしたスマートなケースです。

針も丁寧に作られていて、と言いたいところですが、マクロショットでは少し粗い部分も見えます。
しかし、アンダー1000ポンドの価格から考えると、時計全体はすごく丁寧に作られていて、高級感が感じられます。

言葉で表すことが本当に難しい、絶妙なカラーの文字盤は見れば見るほどその魅力に夢中になります。
少し暗めの室内では、ピンクとサーモンの中間のようなパキッとした色味に見えます。
日付表示はありません。けれどこの時計は日付なんか気にしなくて良い、ゆったりとしたオフの日を鮮やかに彩ってくれます。

太陽光の下では、少しクリームがかったような淡い表情を見せます。
派手な色味の文字盤は飽きが来るのも早いかと思いましたが、色々な表情を見せてくれるので長く楽しめそうです。

細部へのこだわり

りゅうずの先端には、ブランドロゴの入ったブロンズのキャップが付いています。

ケース裏はスケルトンになっていて、ムーブメントが見えます。
使用されているのは、ラ ジュー ペレ G101 ムーブメントです。
このムーブメントはパワーリザーブが68時間と、なかなか優秀なスペックを持っています。
このピーチカラー文字盤の時計は、普段スーツで仕事をするような場合は、着用するのにちょっと勇気が必要なデザインです。そのため、金曜の夜から月曜の朝まで装着せずに乗り切れるパワーリザーブも、宝の持ち腐れになってしまうかもしれません。

付属のレザーストラップはクイックチェンジができます。
これまでは、何となくクイックチェンジのストラップを避けてきたので、初体験です。
試しに付け外ししてみましたが、あまりの簡単さにちょっと感動しました。これならその日の気分で、出かける前にストラップ交換できるので、クイックチェンジ可能なストラップを集めたくなります。

ストラップは長めですが、穴の数が多いので様々な手首のサイズに合わせられます。ストラップのケース側にはわずかにパッドが入っているようで、約4.5mmと少し厚めです。パットのない剣先の方は約3mmです。
厚めのストラップなので、最初のうちは装着感が固めです。

内面に無反射コーティングが施された、ボックス型のサファイアクリスタルが使われています。周辺部が歪んで見えるので、レトロ感が増します。

ケースの厚みは10.4mmと薄型で、直径36mm、ラグ間41.2mmと小ぶりな時計です。私は男性としては手首が細い(約15cm)ので、36mmくらいの腕時計が、ベストサイズだと思っています。

ラグ間41.2mmは細腕にも収まりがよく、男女問わず幅広い人に合いそうです。
サイズ的に物足りなく感じる方もいそうですが、ベゼルの細さとポップな文字盤が相まって、小ぶりながらも目を引く時計です。

スパールミノバは明るく、暗闇での視認性が高いです。

尾錠にもAのロゴが入っています。サテンとポリッシュが合わさったデザインで、凝った作りです。しっかりとしていますが、時計のシンプルさと比較するとややゴツく、もう少しシンプルな尾錠の方が、時計との相性は良かったのにと思います。

すべてが良くまとまった愛すべき時計

シンプルな3針、日付表示なし、目を引くカラーの文字盤。
FARER RESOLUTE SORBET 36MMは、決して最初の1本として買う時計ではないと思います。
ある程度、普段使いする時計が揃っている人の、オフでの外しの1本となる時計ではないでしょうか。
奇抜と言って差し支えない文字盤のカラーですが、インデックスや針、ボックス型のサファイアガラスなどが、絶妙なバランスで上手くまとまっています。なんとも言えない絶妙なカラーの文字盤は、実物を見るとより愛着が湧いてきます。
白・黒、青などのスタンダードな文字盤だけじゃ満足できなくなってきたら、FARERのサイトを覗いてみると、遊び心を刺激してくれる素敵な時計と出会えるかもしれません。

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