クリップオンストロボとは、カメラ上部のホットシューに直接取り付けるタイプのストロボのことです。
小型軽量でバッテリー式なので、取材や屋外での撮影で使うことが多いイメージですが、スタジオでのモデル撮影でカメラに取り付けて直接照射するような使い方もします。
カメラに取り付けているので、カメラとほぼ同じ位置から被写体に光が当たり、顔にあまり影が出ないようなライティングになります。
光源が小さく、硬い光を直射するので独特の生っぽさが出ます。
動画でレビュー
ストロボを直接カメラに付けたときの縦位置・横位置の違い
カメラのホットシューに直接ストロボを取り付けて、横位置で撮影するとこのような感になります。
後ろの壁に影が出ません。
縦位置で撮影するとこのような感じになります。
シャッターボタンが上に来るように持って縦位置で構えると、被写体に対して、向かって左から光が当たるので右後ろに影が伸びてしまいます。さらにアッパー目のいわゆるお化けライティングになっていて、後ろの影はやや上に伸びています。
これらを解決するために使うのが、ストロボブラケットです。
※余談ですが、最近の画素数の高いカメラなら、使用用途によってはすべて横位置で撮影して、縦位置にしたい写真だけ縦にトリミングをするという荒わざで解決することもできます。仮にEOS R5 を横位置で撮影して両サイドをトリミングして縦位置(2:3の比率)にした場合でも、3642×5464なので2000万画素弱と、用途次第では十分なサイズが担保できます。
エツミ ストロボ アジャスタープロ LF
いつ購入したのかも覚えていないくらい前から使っている、エツミのストロボブラケットです。
L字型とコの字型の2つに分割されたパーツを組み合わせることで、カメラにクリップオンストロボを取り付けられます。
ストロボブラケットを使用して、レンズの光軸とストロボの中心を合わせると影が横に出ないようになります。
このストロボブラケットでも縦位置撮影のときに影が出ないようにするための機能としては充分なのですが、色々と不満点があります。
不満点
カメラ横の接続端子、バッテリーにアクセスしづらい
このように、USBケーブルなどが挿しづらくなります。
バッテリーグリップを付けている場合は、ブラケットを付けたままではバッテリー交換ができません。
正しい取り付け方だとカメラを持ちづらい
コの字型のパーツは斜めになっていることで、ストロボ発光面がカメラのボディよりも前に出て、ケラレを防止するようになっています。
ただこの付け方だとシャッターボタンが下になるようにカメラを持つことになります。好みの問題ですが、カメラが持ちづらく、せっかくの縦位置グリップも意味がなくなってしまいます。
ですので、このように本来とは逆向きに取り付けて使用しています。この場合はカメラを普通にグリップすることが出来ます。
ただ、ブラケットの構造上ストロボ発光面がレンズよりかなり奥になってしまうので、焦点距離やレンズの大きさによってはケラれてしまうかもしれません。
ケーブル類、バッテリーにはアクセスできますが、メモリーカードの取り出しが困難になります。
縦横の切り替えが面倒
縦位置だけの撮影ならこのストロボブラケットを取り付けておけば良いのですが、モデルカットなどで、縦横を頻繁に切り替えながら撮影するときはものすごく不便です。
そういうときは、ある程度縦位置で撮影してからストロボをブラケットから取り外し、カメラ上部に取り付け直して、横位置での撮影をするという方法で対応しています。
モデルカットの場合はストロボを付け替える時間があることで、どうしても撮影のリズムが崩れてしまいます。
カメラが置きにくい
カメラを置こうとするとこのように非常に不安定な置き方になってしまいます。
カメラ側面を下にして置けば、やや斜めになるものの安定して置くことが出来ます。
ただし、テザー撮影用のUSBケーブルなどを接続している場合は、この向きで置くことは出来ません。
こういった細かい使い勝手の悪さを解消してくれるのが、Custom Brackets RF-PROです。
Custom Brackets RF-PRO
外観
広げた状態の全体像です。かさばりそうな見た目ですが折りたたむことでコンパクトに収納できます。
この部分が折り畳めるようになっています。
折りたたむことで、エツミのストロボブラケットとほぼ同じくらいのサイズ感になります。
重量もストロボ アジャスタープロ LFが約270g、RF-PROが約290gなのでほとんど変わりません。
この部分にシューアダプターを取り付けます。中心の1/4インチネジの左右にあるパーツを動かすことで、シューアダプターを固定することが出来ます。
キャノンのオフカメラシューコードを付けています。
無線式のクリップオンストロボの場合、コールドシューアダプターを付ければケーブル無しでよりスマートに装着できます。
カメラへの取り付け部は、アルカスイスタイプのクランプです。他に1/4インチネジで直接カメラに付けるタイプと、マンフロットのRC2タイプのクランプのものがあります。
このツメを広げることで、カメラを置くときに安定するようになっています。
ストロボの縦横を切り替える可動部は、上下に無段階で移動します。取り付けるカメラやレンズのサイズに合わせて、調整することが出来ます。
カメラへの取り付け
カメラ底面のプレートに取り付けます。Kirkのカメラプレートを使用していますが、問題なくしっかりと取り付けられます。
ブラケットのクランプ底面には1/4インチネジの穴があるので、三脚に取り付けることも出来ます。
ブラケットの可動部がレンズに沿っていて、エツミのストロボ アジャスタープロ LFより装着した姿がコンパクトでスマートです。
前述のツメがあるおかげで、カメラを安定して置くことができます。
横位置ではレンズの光軸とストロボの中心がちゃんと合っています。
縦位置のときはどう調整しても、光軸が若干ズレてしまいます。
カメラプレートに厚みがあるので、その分ズレてしまっているようです。ブラケットをカメラに直接取り付けるタイプの場合は、バッテリーグリップ付きのカメラでも、縦位置の場合もピッタリ中心は合いそうです。
これくらいのズレならそこまで影響がないので、許容範囲ということにしています。
縦横切替の動き
可動部は縦・横・斜め45°にクリック感があります。
動きは滑らかで、片手でカメラを持ったまま簡単に縦横を切り替えられます。ストロボを持って軽く力を入れると動くのですが、止まるところではきちっと止まります。カチャカチャさせたときのクリック感が気持ち良く、ついつい無駄に動かしたくなります。
カメラプレートとブラケットの2つ分の厚みが底面に増すのと、クランプの固定ネジが手の平に当たるので、縦位置では少しカメラを持ちづらいです。
微妙なところ
機能などはこの上なく満足しているのですが、日本では購入しづらいです。
あまり取り扱っているところがなく、国内のショップではアルカスイスクランプのものは見つけられなかったので、公式サイトから個人輸入しました。
Custom Brackets
KirkやB&Hなど、個人輸入で機材を購入した経験はあるので、注文するのは難しくはなかったのですが、商品が中々届かず・・・。結局メールで2回催促して、届くまでにひと月半くらいかかりました。
※それなりにちゃんとしているとは思いますが、個人輸入の場合は自己責任で慎重にご購入下さい。
まとめ
Custom Brackets RF-PROを使うと、クリップオンストロボでの撮影時の縦横の切り替えが劇的に快適にります。しっかりとした堅牢な作りで、機材としての完成度が高く、所有欲も満たしてくれる高級感があります。
日本では手に入りにくいニッチな機材ですが、クリップオンストロボ撮影で縦横を頻繁に変えながら撮影する場合は、すごく便利になるので検討してみて下さい。
Amazonにも商品はありました。ただ、こちらのリンクの商品は、今回ご紹介したアルカスイスタイプではありませんのでご注意ください。
価格も6万円オーバーと結構なお値段です。カスタムブラケットの公式サイトだと$220〜なので、送料を考えてもそちらの方が安く買えそうです。
バリエーションも豊富なので、興味のある方は覗いてみて下さい。
Custom Brackets
※海外通販は自己責任でお願い致します
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