Canon RF100mm F2.8 L MACRO IS USM:フォーカスシフトの検証

Canon RF100mm F2.8 L MACRO IS USM:フォーカスシフトの検証

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Canon RF100mm F2.8 L MACRO IS USMを購入してから10ヶ月ほど使用しました。購入時のファーストインプレッションはこちら。

AFが早く解像感も良しで、快適に使っていたのですが、ピントが若干甘いことがあるのが気になっていました。
海外レビューなどで近接撮影時にフォーカスシフトが発生するというのは見かけていたので、それが原因かと思い検証してみました。

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検証その1(定規で検証)

以下、撮影はカメラを三脚に固定しレリーズを使用して撮影しています。
すべてEOS R5+RF 100mm、ISO200。
フォーカスはマニュアルで合わせています。自然光で撮影しているので、絞った分の露出はシャッタスピードで調整していたり、明るさに若干ばらつきがあったりと、そこまで厳密なテストではないので、参考程度にご覧ください。

定規の3cmのところのラインにピントを合わせています。撮影距離は約50cm。
以下、ピント部分の切り出しです。

F5.6あたりから少しだけピント位置が後ろにズレている気がします….。F8もピント位置は若干後ろになっているようにも見えますが、被写界深度が深くなっているのであまり気になりません。

次は少し撮影距離を遠くして、約70cmの位置です。ピント位置は26の「2」に合わせています。

F4〜F5.6は後ピンになっているように見えます。F8・F11もちょっと怪しい気がしますが、被写界深度の深さゆえにあまり気にならないレベルです。
あと、フォーカスシフトとは関係ありませんが、F11くらいから回折現象の影響か解像感が落ちているような気がします。

検証その2(スプレーボトルで検証)

次はもう少し普通の撮影っぽいシチュエーションで実験してみます。

被写体のアルコールスプレーとの距離は約1.1m。ピントはバーコードの「2」に合わせています。

やはりF4・F5.6だと後ピンで「緑」の文字にピントが合ってしまっています。F8以降も後ピンに見える気がしますが、被写界深度の深さゆえ気になるレベルではありません。

続いて寄りでの撮影です。被写体との距離は約65cmです。

引きのときよりもフォーカスシフトが少ないような気がします….。この感じだったら、すべてのF値でピントが合っていると言っても大丈夫な気がします。

検証その3(商品撮影のシチュエーションを想定)

最後は商品撮影などでありそうなシチュエーションです。そもそもピントの甘さが気になったのも、こういった感じで平面の商品を正対で、背景を少しぼかすというような撮影をしているときです。こういった撮影だと、商品のパッケージ正面にピントを合わせた場合、ピントがズレていると結構気になります。
ピントが合っているボトルまでの距離が約1mです。

F4が一番ピントが良い気がします。F2.8で微妙にピントが外れているような気がするのでそれが原因かもしれません。F5.6以降は明らかにピント位置がズレてしまっています。

検証その4(ストロボ撮影でより厳密に検証)

検証その1〜3まで試してみましたが、今ひとつ釈然としません。とりあえずフォーカスシフトは発生しているようですが、寄りの撮影よりも引き画のときの方が顕著にピントのズレが起きている気がします。
気になるのでもう少し厳密にテストしてみます。
ストロボの出力で露出を調整して、カメラ側はF値のみ変更しています。テザー撮影でPCからF値を変更しているので、テスト中は一切カメラに触れていません。近・中・遠距離の3パターンでテストしてみました。

近距離(約34cm)

被写体との距離は約34cm。ほぼ等倍くらいまで寄って撮影しています。

これまでの検証と同様に、気になるほどのピントのズレは見受けられません。細かく見るとF8でやや甘いようにも感じますが、これなら全てピントは合っていると言って差し支えないかと。

近距離2(約56cm)

距離約56cm。モアレが出てしまいました….。小さい物の商品撮影とかでそこそこ使う距離です。

さきほどのよりもフォーカスシフトによるピントのズレが出ています。F4・F5.6と絞ることで解像感が低下していっているように見えます。

中距離(約1m)

距離約1m。筆者の場合はこのレンズで比較的よく使用する距離です。

F4から明らかにピントのズレによる解像感の低下が起こっています。F5.6が一番ひどく、F8・F11と絞ることで被写界深度が深くなるためにやや改善して見えます。
以下はどの絞りから発生するか調べるために1/3段ずつ絞っていったものです。

F3.5から怪しくなっていき、F5.6・F6.3くらいがピークかと。

遠距離(約2m)

距離約2m。背景の明るさが変わってしまっているのはご愛嬌ということで….。

さきほどと同様にF4で若干ピンが甘いです。引き画なのでそもそも解像感が低いのですが、F5.6くらいの感じだとピンぼけと判断するくらいに甘いです。F8以降はやや改善していきます。

まとめ

以上のテストの結果、他のレビューで見かけた近接撮影時ではなく中・遠距離でより顕著に見受けられます。これが筆者のレンズの個体差なのかは分かりませんが、RF100mmにはフォーカスシフトが発生するようです。ただし、PCで等倍表示して上で、アラ探しのようなことをして分かるレベルでのピントのズレです。

検証時に一番ピントが甘く見えていたF5.6の上の写真を赤枠のサイズ(約60%)にトリミングしたものが下の写真です。

画像クリックで原寸大の写真が表示されます

こうして、一枚の写真として見ている分にはある程度トリミングしたとしても、ちゃんとボトルにピントが合っているように見えます。
F4.0〜F6.3くらいが後ピン傾向が強く出ているので、そのくらいの絞りで厳密なピント合わせが必要な場合、撮影時に注意が必要です。
AFの速さやSA機能、キレの良さなど優位性もたくさんあるので、フォーカスシフトだけでこのレンズを駄目とは判断せず、鑑賞サイズや用途を考えて使用していく必要があると感じました。フォーカスシフトはファームウェアでも修正することが可能なようなので、Canonが対応してくれることを期待しています。

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Tanaka Toshiyuki
都内在住フリーランスのカメラマンです。
ファッション・ポートレート・物撮りなどを中心に活動しています。

このブログではカメラ・機材やガジェットなど撮影に役立つものを中心に紹介しています。

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