こんにちは、フリーランスフォトグラファーのTanaka(@Tanaka__photo)です。
「この価格で、ここまで使えるのか」と驚かされるレンズがあります。
SONY FE 35mm F1.8(SEL35F18F)は、まさにそんな一本でした。
SONY純正のレンズの中で、「無印」と呼ばれるこのレンズは、G・GMといった高性能なレンズに比べて、控えめな性能ながらコストパフォーマンスに優れています。
実際に使ってみると、その実用性の高さに価格以上の価値を感じました。
とにかく軽くて、寄れて、AFも十分に速く正確。
スチールでも動画でも信頼できる性能で、α7CIIとの組み合わせでは、日常の撮影にこれ以上ないくらいマッチします。
もともと動画用に購入しましたが、今では子どもの記録からポートレート、日常のスナップまで、手軽に持ち出せるレンズとして重宝しています。
この記事では、そんなFE 35mm F1.8の魅力を、実際の作例とともに紹介していきます。

なぜこのレンズを選んだのか

SONYにマウント変更して、2番目に買ったのがこのレンズ。
もともとは動画用として、フォーカスブリージングが少なく、寄れる35mmくらいのレンズが必要で、FE 35mm F1.8を選びました。
本業のスチールで使うつもりはあまりなく、「軽いし、予備レンズとして持ち歩くのに便利かな」くらいの気持ちでしたが、試しに写真撮影に使ってみたら、良い意味で裏切られました。

α7CIIとの組み合わせなら、約813g。片手でも楽に構えられ、レンズ自体もコンパクトなので、ちょっとした散歩に持ち出すのにも最適。
出かけるときや日常の記録などで、α7CIIの常用レンズとして頻繁に使うようになりました。
小さくて軽い。けれど、しっかり使えるレンズ

見た目はとてもシンプルで、ミニマルなデザイン。
金属製の鏡筒やマウント、フォーカスリングまわりの作りはしっかりしており、チープさはまったく感じません。

全長は約73mm、重量は約290gと、フルサイズ対応の単焦点レンズとしてはかなり軽量・コンパクト。

α7CIIとの相性も抜群で、コンデジとまではいきませんが、フルサイズセンサー搭載のカメラとは思えないほどの取り回しの良さです。

レンズ側面にはAF/MF切り替えスイッチとカスタム可能なフォーカスホールドボタンをひとつ搭載。
コスパ重視のレンズとはいえ、このあたりの機能がしっかりしているのは、使い勝手まで考慮されていて、好感が持てます。
ただし、絞りリングは非搭載。特に動画用途での使用だと、その点は気になる部分かもしれません。
AFもとても静かでスムーズ。スチールでも動画でもストレスのない動作をしてくれます。
実売で8万円を切るという価格を考えれば、サイズ・機能・描写性能のバランスが非常に優れた一本。
「軽いけどしっかり使える」──そんな言葉がぴったりの、実用性重視のレンズです。
子ども撮影に向いている理由
もともと動画で使おうと思って購入したこのレンズ。
スチールでも使えるなと思ったきっかけが、自宅で双子の子どもたちを撮影したときでした。

35mmは、室内で撮るのにちょうど良い画角。
狭い自宅で子どもたち2人を一緒に撮影するときも、無理なくフレーミングでき、ちょうど良い距離感で撮影できます。


狭すぎず、広すぎず。
背景の整理がしやすく、生活感のある部屋でもうまく切り取れます。
さらに、AFの速さと正確さが本当に優秀。
急に振り返ったときにもすぐに反応し、瞳AFでバッチリ瞳にピントが合います。α7CIIとの組み合わせでは、フォーカスはカメラ任せで「撮りたい瞬間にちゃんとピントが来る」安心感があり、構図や表情に集中して撮影できます。

そして、このレンズの軽さとサイズ感も子ども撮影に最適な理由のひとつです。
片手で無理なく扱えるので、1人を抱っこしながら、もう1人を撮影することも可能。


さらに、まったくオススメはできませんが——
バリアングルモニターを活かして、抱っこしながら無理やりカメラを片手で持ち、子どもと一緒に自撮りすることもできてしまいます。

開放F値1.8の明るいレンズなので、少し暗めな室内でも、シャッタスピードを稼ぎつつISO感度を上げすぎないようにして撮影可能。室内での子どもの撮影も、暗めなキットレンズなどに比べると有利です。
コンパクトで軽量なα7CIIとFE 35mm F1.8の組み合わせは、家の中でも、ちょっとしたお出かけでも、常にそばにあり、日常の大切なシーンを切り取ってくれる“頼れる相棒”になっています。
表現を広げる、寄れる35mmの魅力


このレンズ、思った以上に寄れます。最短撮影距離は22cm。
子どもの手元や遊んでいる様子などにグッと寄って撮れるので、思い出を記録するのにピッタリ。


F1.8という開放F値は、GMレンズなどと比べるとスペック的には見劣りしますが、しっかりと背景をボカせます。


少し絞って撮る場合も、被写体に寄ることで背景を大きくボカすことが可能。
散らかった部屋の中でも、背景が大きくボケてくれるおかげで、被写体がしっかり引き立ちます。
「生活感を写したくないけど、家の中で撮りたい」そんなときにも、このレンズは頼りになります。


被写体にグッと寄ることで、いつもとは違った迫力あるダイナミックな子どもの表情も。寄れるレンズはひと味違った写真を撮ることができます。
ちょうど良い画角と、グッと寄れる最短撮影距離の短さ。
「とりあえずこの一本があれば、どうにかなる」。そんな安心感が、このレンズの魅力でもあります。
ポートレートレンズとしての印象
35mmは、いわゆる「ポートレート撮影」でよく使われる85mmや50mmなどと比べると、やや広めの画角。その少し広いところが、人物と街並みを一緒に写し込むスナップ的なポートレートに向いていると思いました。




街なかでの撮影では、そこまでモデルと離れなくても広い画角で撮影できるのが便利。
モデルとの距離感も近すぎず離れすぎず、自然にコミュニケーションを撮りながら撮影できるのも、35mmならではです。


背景を活かして撮影し、写真にストーリー性や空気感を込めるのにも、この画角はとてもよく合います。
コンパクトなレンズとαシリーズのカメラの組み合わせは、大げさになりすぎないので、散歩しながら撮るのにもピッタリ。




F1.8の開放では、しっかりと被写体を浮き立たせるボケ感も得られます。
ただし、背景によっては、ややボケが騒がしく感じる場面もあると感じました。
とはいえ、このレンズの価格を考えると十分に魅力的なボケ味で、スマホのポートレートモードのような後処理ではない、光学的な自然なボケを楽しめるのは、やはり一眼の醍醐味。


α7RVの高画素を活かして、APS-Cクロップで撮影すれば、約52mm(35mm換算)の標準レンズのようにも使えるので、さらに使い勝手は良くなります。
まとめ|「価格以上」の価値がある、手放せない一本


FE 35mm F1.8は、スペックで目立つレンズではありません。
けれど、撮るたびに「これで十分」「これがちょうどいい」と思える、実用性に優れたレンズです。
子どもとの日常を記録するにも、街中で自然なポートレートを撮るにも、ちょうどいい画角とボケ感。 しかも、軽くて寄れて、AFも速い。ちょっとした外出でも、気負わずに持ち出せて、サッと撮れて、しっかり写る。
レンズのコンパクトさからくる利便性と、描写能力のバランスが非常に良いFE 35mm F1.8。
ボケ味や描写力など、GMなどの高級なレンズには見劣りするかもしれませんが、このレンズには他には代えの利かない良さが確実にあります。
実売価格が7万円台と、フルサイズ対応レンズとしては手に取りやすい価格帯なのも嬉しいポイント。
高価なレンズに目を向ける前に、一度このレンズをじっくり使ってみると、その総合力の高さに、「これが、ちょうどいい」と思わせてくれる魅力があります。
FE 35mm F1.8は、きっと誰かにとっての「最初の一本」であると同時に、より高性能なレンズを手にした後も、ずっと使い続けたくなる一本でもあると思います。

