仕事で撮影するようになってから、プライベートで写真を撮ることが減ってしまいました。もっと普段から色々と撮影しようと思い、気軽にカメラを持ち出せるように、小さくて軽いレンズを買ってみました。
マニュアルフォーカスで少し癖のある描写。普段使っているちゃんとした写りのレンズとは違って、ゆるっとした気持ちで撮影を楽しめて、約1万円とコスパの良いレンズ「銘匠光学 TTArtisan 50mm f/2 」を紹介します。
動画でレビュー
コンパクトで携帯性に優れたレンズ
レンズは片手に収まるコンパクトサイズです。
金属製でしっかりとした作りのレンズは、見た目のわりに重量があります。それでも、仕事で使うレンズの中でも比較的軽量なRF24-105mm F4 L IS USM(約700g)の1/3の重さであるため、かなり軽く感じます。
EOS R6 Mark II との組み合わせで約860g(バッテリー込み)と1kgを切るので、ちょっとした散歩などに持ち出すのも億劫になりません。
レンズの全長は約3.5cm、パンケーキレンズとまでは言えないですが、EOS R6 Mark II との組み合わせでは、かなりコンパクトにまとまります。
フルサイズセンサーでそれなりに大きいボディのEOS R6 Mark II でも、レンズが小さいとカメラの威圧感が減るので街中でのスナップ撮影も気軽にできそうです。
金属製でしっかりとしたつくり
鏡筒は金属製で、約1万円で買えるとは思えないほど高級感があります。
レンズの先端には回転にクリック感のある絞りリングがあります。
ピントリングは絞りリングよりも幅広くなっています。ほどよいグリス感があり、ヌルっとした操作感が気持ち良いです。
レンズは繰り出し式で、最短撮影距離では約5mmほどレンズが伸びます。
マウント部分も金属製です。今回購入したのはCanonのRFマウント用で、カメラへの取り付けはガタなどがなくきっちりと作られています。他にソニーEやニコンZなどの様々なマウントに対応したものがあります。
電子接点のないレンズなので、EXIF*に焦点距離や絞り値は記録されません。
*EXIFとは、「Exchangeable image file format」の略で、デジタルカメラで撮影した画像ファイルに、撮影情報(日時、シャッタースピード、絞り、ISO感度など)やカメラのモデルなどを記録するための標準規格のひとつです。
レンズキャップも金属製で質感が高いです。ブランド名の表記もちょっと凝ったフォントになっていて、細かい部分にもこだわりが感じられるので所有欲を満たしてくれます。
ただ、このレンズキャップはねじ込み式で付け外しがちょっと面倒です。もっと気軽に使えるカメラにするために、別売りのレンズキャップを用意しました。
別売りのレンズフードとレンズキャップを用意
用意したのは「F-Foto クラシックメタルレンズフード ブラック スリム&ワイド(広角、薄型)タイプ」という、ねじ込み取り付け式のレンズフードです。
TTArtisan 50mm f/2 はフィルター径が43mmなので、フードの取り付け側の径が43mmのものを選びました。今回はレンズフードとしてのハレ切りなどの効果ではなく、見た目とレンズキャップの取り付けのためなので広角レンズに対応(35mm換算で焦点距離28mm以上)している薄型のフードにしています。
レンズに取り付けるとこのような感じです。
フードのクラシックな外観とレンズがマッチしていて良い感じです。金属の質感とブラックの色味もレンズと似ているので、元々こういう仕様だったかのように違和感がないです。薄型のフードは主張が少なく、悪目立ちしません。
このレンズフードは先端に58mm径のネジが切ってあるので、先端に合うサイズのレンズキャップを合わせて買いました。
ちなみにフード内部にもネジが切ってあるので、フィルターを取り付けることも可能です。
レンズフードの内部にキャップを取り付けることも可能ですが、スナップ撮影などに使うので機動性重視でレンズ先端に取り付けて、撮影するときにすぐに取り外せるようにしています。
UNのワンタッチレンズキャップという商品ですが、きっちりハマっています。
作例
ここからは TTArtisan 50mm f/2 の撮影した写真を紹介します。
すべてEOS R6 Mark II で撮影しています。
まずはjpeg撮って出しです。
TTArtisan 50mm f/2 はフルサイズセンサー対応のレンズですが、RFマウントはAPS-Cでの撮影を推奨しています。(焦点工房のHPでのレンズの仕様には「キヤノンRF用はAPS-Cサイズでの撮影をお勧めします。フルサイズで使用した場合、作例にはない偽色・滲み・解像度低下・色かぶりなど発生する場合があります。」とあります。)
この写真でも周辺光量落ちは大きく、四隅はマゼンタに色かぶりしています。
絞るとある程度は周辺光量落ちに改善は見られますが、それでも周辺は落ちています。
解像感は絞ることでかなり高くなり、シャキッとした画になります。
逆光だとかなりコントラストが低下してフワッとした描写に。フレアやゴーストも盛大に出ます。
ここからはRAWで撮影してCpture Oneで現像した写真です。
ちょっとフィルムライクに、レトロ感が強調されるように現像してみました。
すべてファインダーでマニュアルフォーカスでピント合わせしています。そのため、微妙にピントが合っていなかったり、盛大に外していたりしますがそれも味として楽しめます。絞り開放だとピント面もフワッとしていて、ゆるいオールドレンズのような雰囲気が楽しめます。
糸巻き型に歪曲します。電子接点がなくオートで補正はできないので、気になる場合は後処理で。
絞り羽根は10枚です。絞って撮ると結構きれいな光芒が出ます。
余談ですがこの写真はシャッタースピード0.4秒のスローシャッターです。手持ちでの撮影ながらほとんどブレがなく、EOS R6 Mark II のボディ内手ブレ補正の優秀さが分かります。
絞ってストロボで撮ると、解像感もあって割ときっちり写ります。
最短撮影距離が50cmなので、寄りがやや中途半端です。
テーブルフォトを撮るときは、もうちょっと寄れればと思う場面があります。
レトロな描写とマニュアル操作で撮影の楽しさを思い出させてくれるレンズ
TTArtisan 50mm f/2は、そのコンパクトで軽量なデザインと、1万円という手頃な価格で手に入るマニュアルフォーカスレンズです。金属製の堅牢なつくりや、レトロな描写が魅力的なこのレンズは、普段使いにピッタリです。
被写体と向き合いファインダーを覗き、絞りを決めフォーカスリングを回転してピントを合わせてシャッターを切るという一連の流れは、カメラを操作して写真を撮影するという楽しさを思い出させてくれます。
※ご購入の際はレンズのマウントをご確認下さい
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